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ぷーちん君のクリムゾン日記  - 華麗なるロシアの一族 2- 

モスクワはすでに後ろに過ぎ去り、オレの目の前には偉大なるツンドラの大地が延々と広がる。地平線と空とのはっきりしない境に向かって進んでいると、このまま飛びたてそうな気さえしてくる。ああ願わくば神よ、この瞬間が終わらぬように…
僅かに白み始めたロシアの夜明け、ギバちゃんは特に口数も多くなく、淡々と車を東へ走らせ、オレはワイフの淹れてくれた少し濃い目のコーヒーを飲みながら、東の空をぼんやり眺めた。どうやら今日は晴れるみたいだ。

「ガム食べますか、ぷーちん君」 ギバちゃんがブラックブラックガムを一枚くれた。
これはオレに寝るなと言っているのだろうか。まあ助手席で寝られたら正直鬱陶しいもんな。けどいちおうさっきのパーキングエリアまではオレが運転してきた訳だし、それ以前もずっと交代で運転してるんだからオレ的には助手席で寝るのはOKだけども、人それぞれ考えは異なるからな。まあ眠たくないから寝ないけどね、ってかそもそもガムを勧めるということはオレが眠たそうに見えたのだろうか、もっとなんか話したほうがいいのかな。もしそうだとしたら一々そういう事まで強制されるのはオレ的には好きではないし、むしろ話をしたいのならば、したい側から積極的に話題を提供すべきだとオレは思うっていかんいかん、一々細かいことを気に病むオレが、今日はいつも以上に小さく思える。くそ、今日から細かい事は気にせずに、もっと雑に生きてみよう。
よし決めた、ギバちゃんがくれたガムは後から噛む事にし、オレはそれを胸ポケットにしまった。








「いいハンティングになればいいですね」 ギバちゃんは言う。
「はは、たとえシャーディックが現れたとしても、我々だったらきっと殺せますよ」
オレはそういうと残りのコーヒーを啜り、さっき貰ったガムを噛む事にした。こんなに早く噛むんだったらわざわざ胸ポケットにしまわなくてもよかったのになってまたこれか、オレはいちいち色んな事を考えてしまうから疲れるんだよ。もう少しゆとりを持って生きねばいけない。

まあいい、ところでシャーディックとは、ロシア北部の原住民の言葉で、「あらゆる獣の中の王」 という意味を持ち、同時にそれは、今オレたちが向かっているシェフチェンコ山の山中深くに潜むとされる伝説の巨熊の呼び名でもある。 ― シャーディック、ひとたび爪を振るえば一撃で山を吹き飛ばし、その牙は一噛みで50人の勇者を殺す。そして20年に一度里に下りてきては、一夜の内に生きて動いているもの全て喰らい尽くす魔獣、その伝説は語られるだけでもこの300年にも及んでいるが、他の伝説と同じように、未だ誰もその巨熊の実在を証明したものはない。

「まあ、そんなものは所詮ただの伝説です。この手でそいつの毛皮に触れるまでは、オレはそいつを信じませんね」
「ははは、ぷーちん君らしい、とても現実的なセリフだ。」
「ゴルビー仕込みですからね」 とオレが言って二人は笑う。

そして車は更に東へと進み、やがて夜が明けた。

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[ 2007/03/20 ] クリムゾン | tb(0) | cm(0)
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