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ぷーちん君のクリムゾン日記  - 華麗なるロシアの一族 完結-  

新品のブーツを履いてきた鉄平は、その履き心地の悪さから踵にくつづれを起こした。じょじょに速度を落とす鉄平に気遣いを見せる三雲に対し、鉄平は 「高炉建設失敗によるストレスが溜まっており眠れず、慢性的な疲労で並みの速度では歩けない」と、咄嗟にその場しのぎの嘘をつき、自分を取り繕って面子を保った。三雲はその言葉を信じ、涙ながらに鉄平を激励する。
真心の篭った三雲の涙に心揺さぶられると同時に己の矮小さを痛感させられ、鉄平は号泣し、その断末魔にも似た泣き声が山中のいたるところに響き渡った。この事をきっかけに、鉄平は三雲に対する激しい劣等感と、淡い憎しみを抱き始めることとなる。

その頃山の奥深くでは、木々をなぎ倒しながら進む一頭の巨大な獣があった。獣はあらゆる獣の王であり、あるいは獣を恐れる人々にとっての神でもあった。人々は3000年生きたその偉大な巨熊の真実の名を知る術がなかったので、シャーディックと名付け、あらゆる書物にその名を記した。そして神話となった王たる熊は今、湧き上がる憤怒に身を焦がしながら猛進していた。
熊は山を統べていたので、二人の人間が己の領地に踏み入った事を知っており、また、その内の一人が惨めにも泣き叫んでいるのを知っていた。山は熊が数多の猛者と死闘を繰り広げた聖なる地であり、そして熊は王である前に純粋な戦士であったので、戦いを目前に闘志を捨てて泣き喚く無様で軟弱な生き物は、それ自体が死闘を汚す罪であり、許されざる侮辱であった。そして熊は、罪深き愚か者にかける慈悲など、初めから持ち合わせてはいなかった。

いつしか雪が降り始めていた。大雪を巻き上げながら山中を駆け巡る風の音が、さながら魔笛の如く鳴り渡っている。ただしその音色に耳を澄ませば、怒りに狂った遠吠が、誰の耳にもはっきり聴こえた事だろう。山はいつでも奏でているのだ―恐れを知らぬ、戦士の歌 (YouTube) を。

 咲き誇る花は 散るからこそに美しい
 散った花びらは 後は土えと還るだけ
 それならばいっそ 斜めを見ずに
 おてんとうさんを 仰いでみようか
 粗意や 粗意や 粗意や 粗意や
 粗意や 粗意や 粗意や 粗意や

 ― 一世風靡セピア 前略、道の上より ―



途中に色々あり、三雲に対する鉄平のわだかまりもいつしか晴れた。かくして鉄平は再び牙を取り戻し、彼らガストロンガーの絆はより強固なものとなる。ただ、いよいよ悪化するくつづれにこれ以上の狩は無理と判断し、そろそろ帰ろうとしたガストロンガーの前にシャーディックが立ちはだかった。怒り狂った獣の王の咆哮は、まさに雷鳴そのものだった。

ガストロンガーは逃げようとしたが熊に追いかけられたので仕方ないので戦った。が、熊は強く、苦戦した。途中、熊が地面を殴りつけると巨大な爪が凍った大地を深くえぐり取り、削り飛ばされた氷の欠片と土と岩とが恐怖の散弾となってガストロンガー等に襲い掛かったりと色々あったが、彼らはキシャリギャンによる加護を得ていたので、危険なものは全部避けた。しかし勝算が全く見当たらないので、二人して途方に暮れて逃げ回るより術がなかった。そして永遠にも感じられた3分間の切羽詰った攻防の末、 「逃げてばかりでは勝てない」 と、とうとう鉄平が覚悟を決める。三雲ももちろん覚悟を決める。

そして、雪がやんで、なんとか勝った。


 巨熊をほふり、歓喜するガストロンガー達   左 ぷーちん  右 ギバ


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[ 2007/04/01 ] クリムゾン | tb(0) | cm(0)
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